ソフトウェア開発見積り手法
平成24年度シラバス
2012年1月13日
国立情報学研究所
トップエスイープロジェクト
代表者 本位田 真一
ソフトウェア開発マネジメント −ソフトウェア開発見積り
石谷靖、(清雄一)
本講座の目的は、ソフトウェア開発のプロジェクトマネジメントで最も基本的かつ重要な工数見積り手法及び規模見積り手法とその活用スキルを習得することである。到達目標は、ソフトウェア開発の見積りにおける考え方の原則を理解し、自らのニーズに基づいて見積り手法に対する評価が実施できることと、さらには自らの開発環境に合った工数見積りモデルを構築できるようになることの3点である。
ソフトウェア開発のマネジメントには「アート」と「サイエンス」の両面が必要だが、本講座ではその両者を融合させる手法の習得に重点を置いている。具体的には、「アート」の面は熟練者が経験を積んで学ぶ感覚(センス)と「サイエンス」の面はソフトウェア開発における実績データとを利用して、片方だけでは実現できないレベルの精度を実現できることを講義及び演習で経験する。その結果、ソフトウェア工学全般における「アート」と「サイエンス」の融合へ今後自ら取り組めるための基礎を与えるところにある。
最も定量的なマネジメントが必要とされる見積りにおいても、定量的かつ再現性のある方法がとられているとは限らないのが現状である。この背景としては、定量データの集め辛さもさることながら、ソフトウェア開発が現状人間活動が中心であり、さまざまな要因が影響を及ぼすため、適切な要因の選択及びその定量化が難しいことがある。本講座では、その難しさを上記で述べた「アート」と「サイエンス」の融合により実現する方法の考え方、理論及びプロセス並びに活用方法を提供するものである。
本講座で習得目標とする技術は次のとおりである。
・ソフトウェア開発の工数及び規模見積り方法(特に、パラメトリックなモデル)
・見積りモデルの構築手法
・ソフトウェア開発における工数変動要因に関する知識
・見積りモデルを活用したリスクマネジメント技法、プロセス改善技法
特定の前提知識を必須としないが、次の項目を理解したうえで受講することが望ましい。また、何らかのプログラミング言語でソフトウェア構築した経験があることが望ましい。
・基本的なプロダクトメトリクス(ソースコード行数)
・ソフトウェア開発ライフサイクルに関する基本知識(主な工程とそのアクティビティ)
・統計学の基礎(基本統計量、相関と回帰、正規分布)
なお、「ソフトウェアメトリクス −ソフトウェア開発データの解析技法」を受講後に本講座を受講すると効果が高いと期待される。
第1回 ソフトウェア開発見積り概説(その1)
第2回 ソフトウェア開発見積り概説(その2)
第3回 規模見積り手法
第4回 工数見積りと変動要因(工数見積りの実習(演習))
第5回 工数見積りモデルの構築手法(CoBRA法)及び工数見積り手法の評価
第6回 演習 CoBRA法モデルの構築
第7回 工数見積りモデルの応用(見積りモデルを用いたプロセス改善(演習))
本講座のテーマは現場のプロジェクトマネジメントに密着したものであり、実務に直接応用が可能である。また、データを実際に解析しながら各種技法を学ぶことで、理解を深めることができる。
なお、歴史的な側面も十分に解説することにより、エンジニアリングが難しいと考えられているソフトウェア開発に置いても着実に工学知識が蓄積されていることを知り、「アート」と「サイエンス」の融合を自ら試みる基礎とすることができる。
・Mircrosoft Excel:表計算ソフトウェア
・IPA/SEC:CoBRA法を用いたソフトウェア見積りモデル構築支援ツール
ノートパソコンにテンプレートファイルを用意、また、インターネットを介してツールを活用し実習する。
出席日数とレポート課題への取り組み状況を総合して評価する。
• CoBRA研究会編:CoBRA法入門、オーム社、2010年
• (独)情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター編:ソフトウェア開発見積りガイドブック、オーム社、2006年
• 児玉 公信:システム開発の見積りのための実践(改訂版) 、日本能率協会マネジメントセンター、2006年
• Bohemら:Software Cost Estimation with COCOMO II、2000年
• Galorathら:ソフトウェアの規模決定、見積り、リスク管理、共立出版、2008年
• 真野ら:見積りの方法、日科技連、1993年
• 初田賢司:本当に使える見積り技術、日経SYSTEMS、2006年
• ロバート・グラス:ソフトウェア開発55の真実と10のウソ、日経BP社、2005年
• Endres, A、Rombach, D:ソフトウェア工学・システム工学ハンドブック 〜エンピリカルアプローチによる法則とその理論〜、コンピュータエイジ社、2005年
• R.D. Stutzke著、 ソフトウェアを中心とするシステムの見積もり、トリフォリオ、2010年
以上